「北斗」「とかち」は全車指定席に 北海道の特急 ネット予約に統一で”破格”きっぷ廃止

JR北海道は、2024年春から一部方面の特急列車を「全車指定席化」するとともに、おトクなきっぷの商品体系を整理してネット予約「えきねっと」での発売に集約します。

特急「すずらん」「カムイ」などで運行しているJR北海道789系電車(中村 昌寛/写真AC)
特急「すずらん」「カムイ」などで運行しているJR北海道789系電車(中村 昌寛/写真AC)

「えきねっと」割引きっぷは価格が日々変動

全車指定席化の対象となる特急列車は、札幌駅を拠点に函館駅方面の「北斗」、東室蘭駅・室蘭駅方面の「すずらん」、釧路駅方面の「おおぞら」と、帯広駅方面の「とかち」の4列車群です。

利用者の着席ニーズが高いことに加え、「早くからホームで並ばなければ座れない」「始発駅に近い方が座れる確率が高い」という不便さや不公平感を解消する狙いがあります。基本編成に1〜3両設けている自由席を廃止して指定席数を拡大し、着席機会をより高めて列車移動の安心感や快適性を高めたい考えです。

また、これに合わせて札幌駅〜旭川駅間を運行している特急「カムイ」「ライラック」でも指定席を拡大し、現在は編成中にそれぞれ最大4両設定している自由席を2両に削減します。なお、稚内駅や網走駅へ向かう「宗谷」「サロベツ」「オホーツク」「大雪」の各特急列車については座席設定には変更はありません。

全車指定席化となる4特急列車群で使えるおトクなきっぷもリニューアルされ、「えきねっと」限定の「えきねっとトクだ値」「お先にトクだ値」に統一されます。いずれも通年で設定され、乗車券付きで片道から利用できるのでわかりやすくなるとしています。予測乗車率や予約のタイミングに合わせ、列車ごとに価格や提供席数が日々変動する「イールドマネジメントシステム」も導入されます。

加えて、指定席車両が拡大する特急「カムイ」「ライラック」では、札幌駅〜滝川駅間など「自由席往復割引きっぷ(Sきっぷ)」の設定がある区間を対象に「えきねっとトクだ値」が新設されます。

(全車指定席化する特急列車の編成表、主な区間に設定される商品価格の改定前後比較など詳細は下の図表を参照)

【図表で解説】全車指定席化する特急列車の編成表、主な区間に設定される商品価格の改定前後比較

「すずらん」は室蘭駅まで全区間“特急”に

現在、発売されているおトクなきっぷ「乗車券往復割引きっぷ」と、関連する「北斗オプション特急券」「すずらんオプション特急券」は設定廃止となります。組み合わせて利用できる札幌駅〜苫小牧駅・東室蘭駅間などの区間で往復利用する場合、特急自由席に通常きっぷの約4〜5割引相当で乗車できるという“破格”の商品でしたが、えきねっと割引商品への移行により実質値上げとなります。

全車指定席化する特急列車区間では、乗りたい列車が決まっていない場合などに座席の指定を受けずに発券する「座席未指定券」が導入されます(指定席特急券と同額)。また、4列車群区間の特急定期券「かよエール」は2024年春以降、指定席の空席を利用できるほか、乗車日の3日前から追加料金なしで座席指定も受けられる「かよエール+(プラス)」へと見直されます。

そのほか、現在は東室蘭駅〜室蘭駅間を普通列車として直通運転している特急「すずらん」ですが、2024年春からは札幌駅〜室蘭駅間の全区間を特急列車として運転します。東室蘭駅〜室蘭駅間の相互間を乗車する場合に限り、乗車券のみで指定席の空席を利用できる特例も設けられます。

また、石勝線の新夕張駅〜新得駅間は普通列車が運行していないため、特例として、この区間内で乗降する場合は乗車券のみで特急列車の自由席に乗車できます。2024年春の全車指定席化以降に乗車する場合、普通車指定席の空席を利用できるよう制度が見直されます。

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